Tama Tax Tokyo はてな支店<開業税理士の玉婆が熱く語るページ>

山口玉美税理士事務所Tama Tax Tokyoのブログ支店です。

扶養控除是正について

顧問先の年末調整が無事すべて終了いたしました。

今年から源泉徴収票の大きさがA6(A4の1/4)→A5(A4の半分)と、倍のサイズになりましたね。

12月年調の企業等にお勤めの方は、すでにデカい源泉徴収票を手にされていることでしょう。

まぁーしかし、紙の量が倍必要になるということの他に、給与支払報告書を市区町村に送る際の郵便料金がかさみますよね。封筒もデカくなりましたし(-.-;

ムダ以外の何物でもないといった状況でございます。

 

そんな中、最近多いのが扶養控除の是正。

会計事務所としては、扶養控除申告書に記載頂いた通り、年末調整をするのですが、後になって税務署から

「扶養外れてませんか?もし外れてたら年末調整やり直してね」

といった通知と回答書(要返信)・追加徴収となる場合の源泉所得税納付書が同封されているという。

税務署側としては、ほぼ100%自信持ってお尋ねしてきてるでしょうね(。-_-。)

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玉婆が今までに是正通知を経験したのをパターン別に区分しますと

☆子供のバイト代が103万円超えてしまった

   これが今のとこ1番多いですね。

   玉婆、子供がいないので親の気持ちが分からないんですが、源泉徴収票をチェックする親ってどのぐらいいるんでしょうね?

   「103万円以上バイトしちゃダメじゃないか、ゴツン(ゲンコツ)」とかいうことになるんでしょうか?

自分がバイトしてた時分、103万円なんて聞いたことも考えたこともなかったです。

 

☆年の途中で就職した、途中まで働いてたけど辞めて無職になったので年末調整において扶養控除申告した

   大きい会社ですと、逐一総務に報告して下さいね、ってなるんですが、年末調整の扶養控除申告書だと年中の動きが分からないし、昨年の印字したのを削除線引いてくれてなかったりといったところから行き違いが生じてしまったり…(言い訳がましい〜スミマセン)

顧問先の社長のお子様については「就職決まったんだよ〜」とかいうお話になるので把握してるのですが、従業員の方についてはマル扶(扶養控除申告書)が全て、ですね(p_-)

 

 配偶者控除を受けている場合で、配偶者に譲渡所得等の臨時的な所得があり、控除対象から外れてしまった

  合計所得金額38万円っていう条件が一般の人にはなかなか理解しがたいですね。

譲渡所得じたいがそう毎年あるものではないし、譲渡所得が扶養に影響あるとか気付きにくいですよね・・・

 

とまぁ他にも諸事情があったりしますが、いずれも当事者としては「あ、バレちゃいました?」ってつもりはなく「え、そうなんですか?」「確かに、言われてみれば・・・」といった雰囲気になりますねぇ。

 

結局突きつめていきますと

・扶養や配偶者控除の条件がそもそも分からないor給与収入103万円しか知らない

・家族内のコミュニケーション が不足している(条件が分からないので、そこんとこ確認しようとか、そもそも思いつかないってのもある)

というのが根底にあるようです。

 

で、先日ついに是正のおたずねが来ました。

今回のケース、実は半年ほど前に、住民税(地方税)の方で更正(自治体が勝手に税額を修正する)を受けて、住民税の追徴課税を受けました。

不動産所得で確定申告している方でしたので、これは所得税国税)の方でも来るな、と思い、所得税については修正申告をすぐ作成し、追加の所得税を納めてもらいました。

 

寡婦(離婚または死別)で子供を扶養していたので「特定の寡婦」に該当し、寡婦控除35万円を受けていました。

しかし子供が控除対象扶養親族でなくなったので、特定寡婦の要件を満たさない事になり、一般の寡婦になる。

そして、寡婦控除が35万円→27万円にダウン・・・↓↓↓

扶養控除が受けられなくなるだけでなく、寡婦控除についても控除額が減るという、ダブルショックになってしまったワケでございます。。(号泣)

 

こればかりは、どれだけの凄腕税理士であったとしても、どうしようもすることができません(;;)

 

しかしながら、もう一つ問題があり。

個人の申告所得税の方で修正申告したといえども、本来は会社が源泉徴収義務者ですので、税務署としては、そんなの知ったこっちゃないワケです。

とにかく年調やり直して追徴課税してね、みたいな(-.-;

これについては、過去に裁判例が確かあって、以前に早稲田の補佐人の授業(品川芳宣先生)でやはり会社に追徴課税されたという判決だったのですが、あいにくその時の資料がどっかいってしまいご紹介できず・・・

(こういうの、ちゃんと取っとかないとダメですねぇ)

その代わり、会社は個人に対し求償権が発生します。

しかし、国が会社に対して追徴するのはラクですが、会社から個人に請求するのはなかなか大変なんですよね・・・

 

とまぁ~分かっちゃいたけど念のため、税務署にTEL。

玉「この方は不動産所得が毎年ありますので、かくかくしかじかで半年前に修正申告してるんですけど。

  会社が源泉しなくちゃいけないのは分かります。でも、そうすると個人の源泉徴収額が変わるから、個人→国税に対して更正の請求(還付申請)って話になりますよね。

  本来納めるべき税金はすでに国税に行ってるワケでしょう。そこんとこ何とかなりませんかね?」

税務署「あ、そうですか。それでしたら先生の方で”修正申告済み”と回答書に書いて送ってもらえれば結構です」(超アッサリ)

 

納税者の方では「前に何か修正しましたよね!!」とカンカンに怒ってましたので(玉婆のせいではないのですが・・・)

とにかく税金を余計に取る必要がなくなって本当に良かったホッ!という思いと、税法からすれば本来の流れでないのに結局国に税金さえ入ればいいのかね?という思いとが入り乱れておりました。

 

しかし何より一番解せないのは、同じ所轄の税務署内なんだから、個人の確定申告がどうなってるか確認してもらえば、修正済みってすぐ分かるハズなんですが。

法人課税と個人課税の間で連携が取れていない、もしくは担当官の確認不足ですよね。

行政側の努力不足のせいで、納税者にいらぬ心配や迷惑がかかることは、本当に避けて欲しいと思いますし、納税への意欲が低下してもしょうがないんじゃないかな?って思ってしまいます。

 

税収のために税法がどんどん複雑化して、徴収が厳しくなっていますけど、庶民の納税に対しての関心・意欲を高めるためにはまず信頼できる税務行政であって欲しいなってせつに思います。