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顧問先の営業譲渡について

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・・・この記事は、開業準備中に書いているものでして、公開するのは開業後になってからとなります・・・

開業予定日が決まって、5月申告もすべて点検に回しまして。

今日は金曜日ではないか~この解放感は飲まずにいられないわ、と思い、税理士受験仲間のラッコちゃんに連絡取って、神保町のイタリアンレストランでお食事。

ラッコちゃん「うちの事務所も税理士が独立するんですよ~」

玉「へぇーそうなんだ。で、その人は何件ぐらい(顧問先)持っていくの?」

ラッコちゃん「10件ぐらいですかねぇ」

 

税理士業界ではよくあること。

担当者は税理士先生が取ってきた顧問先を受けて仕事しているワケですので、独立の際顧問先を持っていくのはたしかにルール違反かもしれません。

しかし、資格のない担当者が安い賃金で一生懸命尽くして、高所得の所長先生は年に一度顔を出す程度なんて事務所ですと、担当者は水面下で粛々と税理士資格取得に向けて努力する。そして顧問先の信頼はいつしか担当者に移り、担当者が資格を取って独立する時に顧問先から「独立後もお願いできますか?」なんて事も多々あるワケです。

お客を取られた所長先生にも原因はあるのですよね。

 

一方、賃金支払ってノウハウを伝授した上に売上を持っていかれてはたまったもんではない、という気持ちも分かります。そこを制度上の縛りで阻止しようという意向が反映されたのが平成13年の税理士法改正で創設された「補助税理士」の区分。雇われている税理士については補助税理士と呼ばれ、納税者との直接委嘱契約が禁じられていました。

玉婆もずっと補助税理士だったんですが、開業税理士・社員税理士と資格取得の過程が違ったり・能力の区分が違うという訳でもないのに、”補助”税理士という名称はおかしいと思っていました。一般ピープルから見て、どう考えても「補助レベルの税理士」と勘違いしてしまうと思います。

平成26年税理士法改正されて、勤務税理士の呼び名が「所属税理士」に変更されました。そして、納税者から直接委嘱を受ける事が可能となりました。

しかし、勤務先での規則で直接委嘱はほとんど禁止している事務所が多いと思います。自分も実際、友達から仕事の依頼を受けても、事務所との契約になるので、料金等も自分の意思で決めることができないし、融通が利かない部分があり、堂々と「なんかあったら頼んでね」と言いづらい状況でした。

 

結局のところ今回自分も顧問先を数件頂く予定なのですが「営業譲渡」という形で対価を支払うことになるそうです。

この業界では当たり前に行われていることとはいえ、決して安くはない金額である事は確かです。

営業譲渡といっても、「ラーメン◯◯家」のような名前の暖簾分けでもないし、特許権や商標権、意匠権もないし(あったとしてもそれはそれ単体で◯◯権の取得または使用料になる)、事務所の超過収益力を買う訳でもないので、正式にいうと、いわゆる固定資産の「営業権」の取得ではないですね。顧客斡旋料、または売上減少すなわち顧客を奪ったことにおいての損害賠償金、はたまた謝礼金に近い性質と思われます。

実際、医師、弁護士、税理士等の資格は他者に譲渡・相続できず、その人固有の財産のため、営業権という固定資産にはならない旨の判例もあります。もし個人が営業譲渡した場合、営業権の譲渡は譲渡所得にはならないので要注意です。

そもそも営業権の取得費をどうするか?ということにもなりますでしょうし…


黙って退職した後で、顧問先自ら依頼してくるのであれば、この金額は払わなくてもいいと思います。しかし、いったん事務所内の後任者に引き継ぐ事となり、顧問先にご迷惑おかけすると思ったので、以前から「そろそろ独立しないんですか?」とか言ってくださった顧問先については、この代金を支払う事になってもいいと決意し、事前にお伺いを立てたうえ、事務所には正直に話しました。

あとは、使用ソフトや入力スタッフ等、今の事務所と同じ環境ではなくなるものもありますので、顧問先の事を本当に考えると、今の事務所との関与が続いた方がいいんだろうな、と思うところもあります。

しかし本来、顧問税理士を選ぶのはお客様が決めること。

そこで税理士側がどうこういう問題ではないとともに、金額が右往左往すること自体おかしな話という気持ちはあります。


自分自身は、今の事務所での仕事と同じ事をしようと思っていないので、ゼロからのスタートになっても構わないと思っていました。

ですので、自分から積極的にお声掛けしたつもりはありません。

しかし、大規模な事務所のスケールメリット、実績にはかなわない中で、一人で開業する自分について来て下さる決意を頂き、心から感謝&身が引き締まる思いです。

実際にはゼロスタートではないのですが、ゼロからの気持ちで頑張りたいと思います。