Tama Tax Tokyo はてな支店<開業税理士の玉婆が熱く語るページ>

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非居住者への贈与・US贈与税改正・武富士事件

先日、米国の方から日本の贈与税に関する質問を受けました。

その質問が英文だと2センテンスだったのですが、結構奥深くて。

 

日本語に訳しますと、おおよそ下記の様な意味と思ふ・・・

Q. 日本の人が米国の人に贈与した場合、日本では受贈者に課税されると思うのですが、どのように米国の人に徴税するのでしょうか?(Tamaが知っての通り)米国では贈与者側に課税されます。

 

玉婆的には、上記の内容にパーフェクトに回答するには3つの質問に答える必要があると考えました。

 

Q1.国税庁はどうやって非居住者に対してされた贈与の事実を知るか?
How does National Tax Agency know the fact of gift given to nonresident?

 

Q2.財産を受け取った非居住者に贈与税の納税義務はあるか?
Must nonresident donee pay Japanese gift tax?

 

Q3.贈与税を納めるべき非居住者がもしも贈与税を支払わない場合、どうなるか?
What happens if a nonresident does not pay his or her gift tax?

 

でもって、その質問の回答と、以前外国人の方向けに作成した贈与税の概要The Overview of Gift Taxをメールで送ったところ・・・

 

USの控除額が2019に改正されたのアップデートする必要があると思うよ~

しまったぁー!!(><;スンマセン

そして、2019の控除額を書き添えてくださったので修正したの図。優しい~♪

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                      ↑上記は米国の居住者の場合

 

それにしても、日本の贈与税厳しすぎる・・・

財産移転を早期化して経済活性化とかいっても実際、2,500万円の相続時精算課税の特別控除枠だけでは不動産や自社株など移すのムリポな話の気がするし(納税猶予の税制改正されたとはいえ)、国外で相続迎えたいと思う人が増えても文句言えない状況の気がする・・・

 

ちなみに2018の金額とも違ってたので調べたところ、米国では2018に改正があって、さらに2019にも改正があったみたいです。

どんどん控除枠が拡大して、日本との差をより感じますね~。

教訓:税制改正がめまぐるしいのは日本だけではない。

非居住者の贈与税の納税義務に関しては「武富士事件」が新聞も賑わせたのでご存じの方も多いと思いますが、税理士業界でもかなり物議を醸しだしたし、納税義務者の範囲の改正に大きな影響を与えた事件でしたね~。

 

香港と日本をうまいこと行ったり来たりして、課税回避の意図は確実にあったんでしょうけども、当時改正前の相続税法の範疇では課税することができない。

という結論ですよね~。

 

(1)東京地裁で納税者勝訴・・・当時の法律においては、日本に住所を有していたとはいえない。という客観的な事実を重視

→(2)東京高裁で一発逆転、国側勝訴・・・滞在日数を調整していたことから、租税回避の目的、認識という主観要素を重視

教訓:事実は小説より奇なり。

これ、最高裁でどうなるんだろ?!

とドキドキだったワケですが。

(3)最高裁でさらにどんでん返しの納税者勝訴(確定)・・・仮に租税回避の意図があったとしても、それをもって客観的な生活の実態=すなわち住所が国内にないという事実を否定することはできない

 

租税法律主義の下では、課税するためには(立法をもって課税範囲を広げるなどの法改正)法律でしかないということが明確化されたのは、税の専門家にとって安堵すべきことだったかもしれません。

そうでなければ、国税庁が「課税回避と思ふ」と言いさえすれば課税されることになってしまいますからね~。(一部そういう規定もあることはありますが)

 

しかしながら、法律を変えさせるって、どんだけ影響力あるんだって感じですよねぇ・・・すご(゜o゜)

おかげで、納税義務の判定がムチャクチャ大変になりましたとさ~。(T0T)号泣

 

とまぁ、ツラツラ書いてしまいましたが、国際間の相続・贈与に関しては、徴税する側も納税する側も、また税金だけではない、沢山の課題があるということでしょうか?

 

それではお仕事に戻りますm(__)m

I believe that the tax suit of "Takefuji," consumer financing company's owner family had a major impact to revise the scope of taxpayers in Japan's tax law.
At that time, NTA was not able to collect tax, however, if the same thing happens now, he would be imposed gift tax in current Japanese tax law.